2022年12月29日木曜日

『新年の挨拶』 津別町農業協同組合 代表理事組合長 佐野成昭

令和5年の年頭に際し、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
組合員の皆様に於かれましては、明るい話題が無く、農業経営がより厳しい状況に直面しております。今こそ農業の基本に立ち返り、今自分達が出来る事を一つずつ取り組み、協同の力と政治力で支え合い、先の見えない難題に取り組んで行く所存であります。

また、日頃より JAつべつの信用、共済、販売、購買、利用事業と広範囲に御利用いただいていることに対して重ねて感謝とお礼を申し上げます。

世界を震撼させたコロナ禍も無くなった訳ではなく一進一退を繰り返している状況の中、地域経済も少しずつではありますが回復基調にあり、空港や観光地にはインバウンドの人達も見られるようになりました。北海道は第一次産業と観光が地域経済を牽引しているだけに明るい兆しが見えるものの、農産物の需要減退による砂糖、牛乳の過剰在庫が大きな問題となっております。それに加えてロシアによるウクライナ侵攻と円安による資材高騰により先が見通せない状況にあり、これからの営農に支障が表れて来ています。一日も早く通常の営農活動が出来ることを心から願っている所です。

昨年の作況については、春の植え付け作業が順調に進んだものの6、7月にまとまった降雨や降雹があり、玉葱、てん菜、馬鈴薯、デントコーンに被害が出ました。その後も曇天、日照不足もあり麦は平年作を若干下回る結果となりましたが、その他の作物に付いては概ね平年作以上の取扱いとなりました。
酪農では牛乳余剰からの生産抑制、畜産では牛の個体販売価格低迷となっており、更には配合飼料の高騰により、酪農・畜産農家は大変厳しい経営環境からJAグループ全体でこの環境を変えるべく国へ要請活動を行っている所であります。少しでも生産者の皆様が今後も安心して営農活動が続けられるための確実な予算取り、所得政策、在庫処理、飼料高騰対策、加工乳価、補給金の値上げ確保等、厳しい交渉になりますが根気強く要請活動を続けて行く所存です。

生産者の皆様もこの危機的な状況を乗り越えるためにも、JAがやれる事、自分達がやれる事を両輪となりこの難局を協同の力で乗り切らなくてはなりません。

つべつ農業の特徴は、祖先から受け継いだ土地を余すことなく,気象、土地条件に合わせ作業体系を工夫しながら畑作、玉ねぎ、酪農、畜産とバランス良く耕作されている事です。この体系を維持、発展させるために①新規参入・担い手確保②鳥獣防止対策③スマート農業の実践による不感地区解消など具体的課題の改善が重要であり課題解決に向け取進めて参ります。また、令和5年には、麦乾燥工場の施設大改修、新スケールの建築を計画しております。各種資材費の高騰もあり当初予算より増額となりましたが、現状のままでは将来に不安を残す事に繋がることより、今回の提案とさせていただきました。反面、今回の大型投資計画により、一層のJA財務基盤と安定経営を図ることが責務であり、組合員皆様の更なる利用率向上と高品質な小麦の生産にご理解とご協力をお願い申し上げます。

最後になりますが、農水省では令和6年に向け新たな農業基本法の策定に入りました。我が国の食料は他国への依存度が高く、自然災害、気象異変、経済異変、感染症等、影響を受け易いことより今以上の食糧生産が必要となって参ります。現在推進しているスマート農業では最新技術を駆使して生産性を高め、省力化を推し進めることで食料自給率の向上が図れると考えております。人のせいにするのでは無く、自分の役割を発揮し、前に向かって進んでいく事で津別町農業の将来に必ず繋がると信じています。 本年も組合員、ご家族様がご健康で災害も無く豊穣の出来秋を迎える事が出来ますよう心からお祈り申し上げ、年頭のご挨拶といたします。