組合員の皆様におかれましては、日々営農に更に邁進されておられることと存じます。
また、組合員・役職員の皆様が一丸となり地域農業の振興や地域社会の発展に向け、日頃より多大なご尽力をされていることに対しまして、改めて敬意と感謝を申し上げる次第であります。
昨年の北海道農業については、春先は天候に恵まれ地域によって降雹被害や竜巻の被害が見られたものの、概ね、平年並みに推移しておりました。しかしながら夏場は猛暑による記録的な高温多湿の影響を大きく受け、各作物の生育自体は、全般的に平年よりも早く進んできましたが、各作物等の収量および品質の低下が顕著となる残念な年でした。
新型コロナウィルス感染症の位置付けは昨年5月より5類に移行し、コロナ禍以前の日常を取り戻しつつありますが、各農畜産物の消費は依然として低迷しており、さらに、国際紛争や急激な円安の進行による飼料・肥料をはじめとした生産資材の高止まりが、農業経営に与える影響は甚大なものとなっています。
さらにこれらの影響を受け、世界の食料需給事情が一変しました。輸出制限を行い、自国の食料を確保する各国の動きが活発化し、世界的な人口増加による食料不足問題など食料争奪合戦がすでに始まっています。我が国の食料を安定的にどう確保するのか。今こそ大いに食料安全保障の国民的議論が必要となっています。
現在、日本の食料自給率は38%しかありません。
これは、世界の先進国の中で最低の水準であり、6割以上の食べ物を輸入に頼っているのが日本の現状です。
食料安全保障の強化が国家の喫緊の課題であることから、我が国の食料供給基地である北海道農業が果たしてきた役割、そして北海道農業への期待は、今後ますます大きくなるものと考えております。
JAグループ北海道は、日本の食料基地であるという使命感に立ち、食料の安定生産・安定供給と農畜産物の需要拡大を両輪として引き続き取り組むことが重要であり、国民の命の源である食を守り続けるにも、まさに新しい農業を築き、未来の世代へ繋いでいく必要があり、行政や全国連とも連携し、しっかりとその対応を図って参ります。
今年は、第31回JA北海道大会が開催されます。
また、第30回JA北海道大会の実践最終年度であり、決議された将来ビジョンである、「北海道550万人と共に創る『力強い農業』と『豊かな魅力ある地域社会』の達成」の成果をしっかりと検証し、次のJA北海道大会に繋げていく必要があります。
このような状況であるからこそ、協同組合運動の原点に立ち返り、相互扶助の精神に基づき互いに協力し、力を合わせこの難局を乗り越えることが重要となります。
消費者の皆様に対しては、今まで以上に農業・食に対する理解を求めるため、JAグループ北海道統一の情報発信のフレーズである「アグリアクション北海道」を浸透させ、より効果的な情報発信を行い、JAグループが提唱する「国消国産」の認知を広めて参りましょう。
結びになりますが、本年は辰年です。辰年は陽の気が動いて万物が振動するので、活力旺盛になって大きく成長し、形がととのう年だといわれています。
この謂われにあやかり、本年が豊穣の年となること、皆様のご健勝をご祈念申し上げ、年頭のご挨拶といたします。