
【北海道農業協同組合中央会 代表理事会長 樽井 功氏】
戦後の食糧不足の混乱期に、農業者の協同組織を通じて農業生産力の向上と農業者の
地位向上を図り、国民経済の発展に寄与することを目的に制定されたこの法律により、農業協同組合が誕生しました。
農業協同組合は「農業者による農業者のための組織」として、自主・自立、民主的運営を基本に、相互扶助の精神のもと、組合員の営農と生活の安定、地域社会の発展に貢献してきました。
一方、現在、農業・農村を取り巻く環境は大きな変革期を迎えています。気候変動による猛暑や豪雨、円安による資材高騰、国際的な食料需給の不安定化などが農業経営に影響を与えています。
昨年、農政の憲法とも言われる食料・農業・農村基本法の改正により、国民一人一人の食料安全保障の確保と環境と調和のとれた食料システムが基本理念として位置付けられ、世界的な食料需給の不安定化による輸入リスクの増大、環境問題への対応など、日本の農政は大きな転換点を迎えています。
JAグループ北海道は、改正基本法に基づく農業構造転換対策の予算確保、食料安全保障の強化、持続可能な北海道農業の確立に向けて、組合員の声を国政に届ける活動を継続しています。
国連は、持続可能な生産と消費、食料安全保障、気候変動対策、地域の人々への医療・福祉、働きがいのある人間らしい仕事の創出、すべての人が参加できる社会づくりなど、さまざまな分野で持続可能な開発目標(SDGs)に貢献している協同組合を評価し、その
認知の向上と協同組合の振興のために、2025 年を国際協同組合年に定めました。
この国際協同組合年を契機に、協同組合の力を再認識し、地域課題の解決と安心で豊かな未来の創造を目指しましょう。
最後になりますが、JAグループ北海道は、組合員との対話活動を一層強化し、協同組合の理念と精神を組織結集力につなげ、今後とも組合員の皆様が夢と希望を持って営農と生活が続けられる環境を整えること、地域農業とJAの発展に全力でサポートすることをお誓い申し上げ、農協法公布記念日にあたってのメッセージと致します。